町民文化館(旧金沢蓄財銀行本店)概要: 町民文化館は明治40年(1907)に金沢貯蓄銀行として建てられた建物です。木造平屋建 塗屋造り、入母屋、桟瓦葺、平入、外壁は格式の高い黒漆喰仕上げ、基礎から腰壁は赤戸室石を使用しています。
戸室石は金沢市の戸室山(標高:548m)から産出される安山岩系の岩石で熱に強く強度は比較的に弱いとされ、江戸時代には金沢城や前田家一族、上級武家屋敷などしか利用が出来ない事から「御留石」、「殿様石」などの異名があり、金融建築として耐火性と信用性が得られる格好の資材だったと思われます。
外観的にも屋根には棟瓦が高く積み上げられ両側には鯱を配置した城郭を思わせる格式で、正面には下屋庇を下げることで背の高い単層の屋根の単調さが緩和され重厚で水平線が強調されるよう感じられます。逆に内部は時代背景から洋風に仕上げられ、入り口の大アーチや木製の付け柱などが見られます。
設計はその手法から長岡平三と推定されますが明確な資料等が残っていなく不詳、長岡平三は東京出身の設計技師で旧中越銀行本店(富山県砺波市)などを手懸けています。
金沢蓄財銀行本店は昭和18年(1943)に北陸銀行尾張町支店となり昭和51年(1976)に閉店、昭和52年(1977)からは石川県立郷土資料館分館町民文化館として再利用され昭和58年(1983)に閉館、現在は尾張町商店街が運営する町民文化館として利用され内部は一般公開しています。
町民文化館は明治時代に建てられた数少ない和洋折衷の銀行建築として貴重な事から昭和51年(1976)に石川県指定有形文化財に指定されています。
町民文化館:上空画像
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