江沼神社(加賀市)概要: 江沼神社は石川県加賀市大聖寺八間道に鎮座している神社です。江沼神社の創建は江戸時代中期の宝永6年(1709)大聖寺藩3代藩主前田利直が藩祖前田利治を祀ったのが始まりと伝えられています。
当初は松島社と称していましたが明治6年(1873)に松島神社となり明治10年(1877)に江沼神社に改称、同年に郷社に列し、明治12年(1879)天満天神社と合祀しています。
天満神社は宝永元年(1704)、松島社と同様に前田利直が前田家の遠祖とされる菅原道真の御霊を勧請したのが始まりとされ、歴代藩主から庇護されてきました。明治4年(1871)に大聖寺藩が廃藩になると、庇護者を失った為、那谷寺(石川県小松市)の境内に遷座しましたが、明治12年(1879)に江沼神社に合祀され、明治16年(1883)に県社に列しています。
江沼神社境内は旧大聖寺藩の藩庁が置かれた陣屋の敷地内で現在残る庭園は宝永6年(1709)に隣接する長流邸(国指定重要文化財)とともに作庭したものです。
歴史が感じられる江沼神社の庭園
金沢城の城下町に作庭された兼六園の影響を受けてた池泉廻遊式武家庭園でひさご池や中島にかかる八ッ橋、石組の間から湧水などの見所があります。江沼神社庭園は貴重な事から名称「旧大聖寺藩邸庭園」として昭和35年(1960)に加賀市指定名勝に指定されています。
江沼神社拝殿は木造平屋建て、入母屋、正面千鳥破風、銅板葺き、平入、桁行3間、正面1間唐破風向拝付き、外壁は真壁造板張り。本殿は三間社流造、銅板葺き。
江沼神社竹館は大聖寺藩14代藩主前田利鬯の居宅として建てられたもので木造2階建、寄棟、桟瓦葺、建築面積158u、入母屋屋根式台付玄関や、上段の間(床の間、違い棚)、大広間など備える格式が高く意匠も優れた近代和風建築の遺構として貴重で「造形の規範となっているもの」との登録基準を満たしている事から平成20年(2008)に国登録有形文化財に登録されています。
江沼神社梅花庵(公均の間)は江戸時代末期に建てられたもので、木造平屋建、切妻、鉄板葺、建築面積44u、外壁は大壁造り漆塗り、座敷には床の間や違棚、付書院、四季草花図が描かれた天井など意匠に優れ、「再現することが容易でないもの」との登録基準を満たしている事から平成20年(2008)に国登録有形文化財に登録されています。
又、旧大聖寺川沿いには江戸時代中期に整備された藩邸河道(幅約11m、11段)や周囲の石垣が良好に残され、当時の土木技術の高さが窺える遺構として貴重な事から平成23年(2011)に加賀市指定史跡に指定されています。祭神:前田利治、菅原道真。
江沼神社:上空画像
【 参考:文献等 】
・ 郷土資料事典-ふるさとの文化遺産-石川県-出版元:株式会社人文社
・ 現地案内板-加賀市教育委員会
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