葭島神社(小松市)概要: 葭島神社は石川県小松市大川町2丁目に鎮座している神社です。葭島神社の創建は不詳ですが、石動山天平寺(現在の伊須流岐比古神社)の高倉坊行蔵院空清が加賀藩2代藩主前田利常(前田家3代目当主)が隠居城として小松城に入ると、それに従い小松城の城下に五穀寺を開いたのが始まりとされます。
その後、葭島神社は洪水により堂宇が流された為、正保元年(1644)に小松天満宮と対となる現在地に境内を遷した際、小松城の葭島に鎮座し守護神だった稲荷大明神を合祀した事で「小松稲荷五穀寺」と号し藩主別段大社格に格付けされました。
以来、歴代小松城の城主から崇敬庇護され社殿の造営や什器などが寄進されました。当初は屋舗社堂や護摩堂が建立されるなど神仏習合していましたが、明治時代初頭に発令された神仏分離令により仏式が廃され社号を「葭島神社」に改称、明治14年(1881)に郷社、明治39年(1906)に神饌幣帛料供進神社に指定されています。
現在の葭島神社本殿は江戸時代後期に建てられたと推定されている建物で三間社流造、三間向拝付、こけら葺、当時の社殿建築の遺構として貴重な事から昭和44年(1969)に石川県指定有形文化財に指定されています。
葭島神社拝殿は木造平屋建て、入母屋、桟瓦葺き、平入、正面千鳥破風、桁行5間、正面3間軒唐破風向拝付き、外壁は真壁造板張り、小松城書院で利用されていた用材の一部が天井材と使われているそうです。
葭島神社の社宝である仏像は葭島神社が五穀寺と称していた神仏習合時代に所有していたものや、廃仏毀釈で廃寺になった諸寺院のものを集めたもので、木造仏像10躯、せん造1躯、銅造神像1躯の合計12躯が平成29年(2017)に小松市指定文化財(彫刻)に指定されています。
鰐口は慶安5年(1652)に前田利常の重臣(松平右衛之助)が寄進したもので、鋳鉄製、直径70p、制作年、寄進者が明確で保存状態も良い事から平成7年(1995)に小松市指定文化財(工芸品)に指定されています。祭神:倉稲魂神、大田神、大宮女神、火結神、宇加神、八坂之神、前田利常。
葭島神社:上空画像
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