白山比�盗_社

白山比�盗_社（白山市）概要：　白山比�盗_社の創建は伝承によると崇神天皇７年（紀元前９１年）に勧請されたのが始まりと伝えられています。ただし、社殿などは無く白山の山頂を遥拝する「まつりのにわ」と呼ばれる祭壇だったとされ、古代人にとって、白山は生物を育てる水源で、美しい山容だった事から神聖な山として信仰の対象になったと思われます。

その後は「まつりのにわ」での素朴な祭祀が数百年続きましたが、奈良時代初期の霊亀２年（７１６）に安久濤の森に社殿が造営され神社としての体裁が整えられました。

養老元年（７１７）に泰澄大師（修験道の高僧）が白山（標高：２７０２ｍ）を登拝し開山、翌養老２年（７１８）に白山山頂に白山比�盗_社の奥宮が創建されました。

当初は修験道場的な色彩が濃かったようですが時代が下がるにつれ神仏習合化し平安時代初期には加賀馬場、越前馬場（平泉寺白山神社：福井県勝山市）、美濃馬場（長滝白山神社：岐阜県郡上市）の登山道（禅定道）が開削され飛躍的に信仰が広がりました。

特に加賀馬場の中心的な存在となった白山比�盗_社は仁寿３年（８５３）に従三位に貞観元年（８５９）に正三位に列し、延長５年（９２７）に編纂された延喜式神名帳には式内社（小社）に列せられ加賀国石川郡十座の内、小社筆頭の地位を得ました。

さらに１１世紀には加賀国一宮となり加賀国の祭祀なども取り仕切る中心的な神社として隆盛し、平安時代末期になると白山比�盗_社は自らを白山本宮とし金剱宮・三宮・岩本宮・中宮・佐羅宮・別宮による白山七社を形成し、近隣の寺院や神社を取り込み大きな影響力を持ち中央にも政治的発言力を持つようになります。

白山比�盗_社は当初、舟岡山（標高１７８ｍ）に鎮座し山頂の奥宮に対し「下白山」や「白山本宮」などと呼ばれていましたが応神天皇２８年（２９７）に十八講河原に遷座し、霊亀２年（７１６）に安久濤の森（現在の古宮公園）に遷座、文明１２年（１４８０）の火災により全山焼失する壊滅的な被害を受けると末社である三宮の境内（現在地）に遷座しました。

歴代領主や為政者からも崇敬庇護され、寿永２年（１１８３）には木曽義仲が神馬を、同年に源頼朝が社領を寄進し、文治２年（１１８６）には源義家が参拝に訪れています。

白山本宮自体も最盛期には境内に４０の社殿堂宇が建ち並んでいましたが度重なる火災や洪水などで何度も社殿を焼失倒壊したことで衰微し室町時代に入ると白山七社の独立性が高まると結びつきが次薄れ、一向宗が広まると多くの信者がが一向宗に改宗した為、大きく衰微しました。

さらに加賀一向一揆により社領が蹂躙され、文明１２年（１４８０）に現在地で再興を図ったものの、その後も一揆衆との抗争が続き、その兵火により焼失し荒廃します。

戦国時代に織田信長の北陸侵攻により一向一揆が殲滅され、新たに領主となった前田利家が再興、江戸時代に入ると加賀藩（藩庁：金沢城）主前田家から崇敬されたことで境内も随時整備され社運も再び隆盛しています。

天正１４年（１５８６）には前田利家が金品が奉納され、明暦３年（１６５７）には４代藩主前田綱紀が母親（清泰院）の冥福を祈り母が光高に嫁いだ際の持参品である剣（銘「吉光」：国宝）を奉納、明和７年（１７７０）には９代藩主前田重教は本殿を再建しています。

又、加賀藩の支藩である大聖寺藩前田家からも崇敬され明暦４年（１６５８）には２代藩主前田利明が太刀（銘：備前長船住長光）を奉納しています。

江戸時代中期になると一般庶民も行楽志向が高まり、白山山頂に登拝する人が激増し、その管理運営権の所在が問題となり、加賀馬場である当社の他、越前馬場の平泉寺（現在の平泉寺白山神社）と美濃馬場の長滝寺（現在の長滝白山神社）と度々争いとなり、幕府の裁定により越前馬場の平泉寺に軍配が上がっています（平泉寺を推した福井藩松平家は有力な親藩大名だった事が裁定が有利に働いたとも云われています）。

しかし、明治時代に入り神仏分離令と廃物希釈運動により、それぞれが神社として独立すると、三社の中で白山比�盗_社が延喜式神名帳に記載されていた最も格式の高い神社として白山信仰の総本社と格付けられました（当然、他の２社もそれぞれ本社を自称しています）。

古くから神仏習合していましたが、明治時代初頭に発令された神仏分離令により仏式を廃し、旧社号とされる白山比�盗_社に改称、明治４年（１８７１）に国幣小社、大正３年（１９１４）に国幣中社、太平洋戦争後は別表神社に列しました。

又、旧加賀馬場だった白山比�盗_社の他、越前馬場の平泉寺白山神社と美濃馬場の長滝白山神社の３社が中心的な白山神社ですが、延喜式神名帳に記載されている神社が白山比�盗_社だけだったことから白山信仰の総本社とされました（現在は３社とも総本社を名乗っています）。祭神は白山比�淘蜷_、伊弉諾尊、伊弉冉尊の三柱。

【 白山比�盗_社の文化財 】−現在の白山比�盗_社本殿はその当時のもので、三間社流造、銅板葺、江戸時代中期に建てられた大型神社本殿建築の遺構として貴重なことから平成１９年（２００７）に石川県指定有形文化財に指定されています。

神門（神社山門）は切妻、銅板葺、一間一戸、四脚門、左右に潜り戸付。外拝殿は大正９年（１９２０）に拝殿として建てられたもので、切妻、銅板葺、平入、正面千鳥破風、正面１間唐破風向拝付。

白山比�盗_社の主な文化財
・ 剣（銘「吉光」）−山城国粟田口派、両鎬造り−国宝
・ 木造狛犬−鎌倉時代末期−檜材、寄木造、黒漆−国指定重要文化財
・ 太刀銘備前長船住長光−鎌倉−長74.5�p、身幅2.75�p−国指定重要文化財
・ 沈金堀手筥−室町末期− 縦25.5横38.4高さ24.65�p−国指定重要文化財
・ 黒漆螺鈿鞍−平安時代−木曽義仲の家臣が奉納−国指定重要文化財
・ 紙本墨書白山之記（白山神社の古伝説集）−平安時代末期−国指定重要文化財
・ 紙本墨書三宮古記（三宮の雑古記録）−国指定重要文化財
・ 紙本墨書白山宮荘厳講中記録（白山神社の重大事件簿）−国指定重要文化財
・ 紙本墨書神皇正統記−永享１０年−国指定重要文化財
・ 木造獅子狛犬−平安時代−檜材、寄木造−国指定重要文化財

【 参考：サイト 】 ・ フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』 ・ 公式ホームページ 【 参考：文献等 】 ・ 郷土資料事典-ふるさとの文化遺産-石川県-出版元:株式会社人文社 ・ 現地案内板（略由緒）-白山比�盗_社