前田重教：概要

【 概　要 】−前田重教は寛保元年（１７４１）、加賀藩５代藩主前田吉徳と流瀬（辻氏の娘：実成院）との子供として生まれました。宝暦３年（１７５３）に加賀藩８代藩主前田重靖が死去すると後継者だった重教が末期養子となるべく逸早く江戸に向かわなければいけませんでしたが、生憎、疱瘡に罹り予定日を大きく変更することを余儀なくされました。生母である実成院は重教の無事を祈る為、日頃から信仰している全性寺で祈願しています（安産祈願したとも）。その後、幕府から家督継承が認められ加賀藩９代藩主に就任しています。

宝暦９年（１７５９）に金沢城下で大火が発生し、居城である金沢城も焼失、大きな被害を受けています。天明３年（１７８３）に発生した大凶作と蔓延した疫病で大きな被害を被ると天明５年（１７８５）には重教自ら改革に乗り出し、質屋の禁止や新田開発、隠田の摘発などを行いましたが、反対する人が多く失敗しています。

前田重教は財政難の中、社寺の保護も積極的に行い明和６年（１７６９）には火災で焼失した天徳院（石川県金沢市）の本堂、講堂、庫裏などを再建、明和７年（１７７０）には白山比�盗_社（石川県白山市）の本殿（石川県指定文化財）を造営、安永８年(１７７９)に宝円寺第１９世巨海匡津の隠寮寺として創建、天明７年（１７８７）には１０代藩主前田治脩に命じて気多大社（石川県羽咋市）の本殿（国指定重要文化財）や摂社白山神社本殿（国指定重要文化財）、神庫（石川県指定文化財）、随身門（石川県指定文化財）などを造営しています。

又、重教は藩内に能を普及させた人物としても知られ、特に宝生流能楽が好きだったようで江戸から宝生源五郎、京都から金春流大夫竹田權兵衞などを招き多くの演奏会が開催され、隠居後は自ら自ら能樂を演じて家臣や領民にも観覧させました。明和８年（１７７１）に隠居、天明６年（１７８６）死去、享年４６歳、戒名：泰雲院殿仁彭寿大居士、家督は前田治脩が継、前田家の墓域である野田山墓地に墓碑が建立されています。

白山比�盗_社：写真

全性寺：写真

金沢城：写真

天徳院：写真

気多大社：写真

野田山墓地：写真