実性院(加賀市)概要: 金龍山実性院は石川県加賀市大聖寺下屋敷町に境内を構えている曹洞宗の寺院です。実性院の創建は寛永18年(1641)、大聖寺藩初代藩主前田利治の家臣玉井市正が、通外祗徹大和尚を招き一庵を設けたのが始まりと伝えられています。正保元年(1644)、祗徹大和尚が死去すると市正は天柱響補(祗徹の弟子)を招き改めて寺院として開山し、開基となった市正の父親の法名(廓庵宗英居士)から寺号を宗英寺としました(開山者は祗徹)。万治3年(1660)、前田利治が死去すると宗英寺で葬儀が執り行われ利治の戒名「実性院殿機雲宗用大居士」から寺号を実性院と改称、万治4年(1661)2代藩主前田利明が現在地に境内を移し山号を霊光山から金龍山に改称しています。
実性院境内周辺は「山の下寺院群」と呼ばれ大聖寺藩の陣屋の防衛ラインとして計画されたもので、有力寺院7カ寺と神社1社が集められました。実性院は大聖寺藩歴代藩主の菩提寺として藩主から庇護され、本堂はじめ諸堂が随時整備され藩内の寺院の中心として寺運も隆盛します。
現在でも御霊屋や前田家廟所(初代から14代まで)、三十三観音の石仏など当時の面影を強く残している落ち着いた寺院で参道には白萩が2千株余が植えられている事から「萩の寺」としても知られています。
現在の実性院本堂は江戸時代初期の寛文5年(1665)に建てられたもので、木造平屋建、寄棟、桟瓦葺、正面千鳥破風、玄関屋根軒唐破風、桁行13間、建築面積493.3u、江戸時代初期の寺院本堂建築の遺構として貴重な事から平成23年(2011)に加賀市指定文化財に指定されています。
北陸白寿三十三観音霊場第9番札所。山号:金龍山。宗派:曹洞宗。本尊:釈迦牟尼佛。
実性院の文化財
・ 大聖寺藩主前田家廟所(約1457u)−加賀市指定史跡
・ 御霊屋−江戸前期−雲形袖付五重座位牌(蒔絵)安置−加賀市指定文化財
・ 本堂−寛文5年−寄棟、桟瓦葺、正面千鳥破風−加賀市指定文化財
・ 紙本金地著色群鹿図屏風(六曲一双:佐々木泉景筆)−加賀市指定文化財
実性院:上空画像
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